辞は達するのみ

私は無学なので、この言葉を最近知りました。

中国の思想家、孫氏の書いた「論語」からの一節です。
「論語」は最も有名な中国の書籍ではないかと思います。
中国の春秋戦国時代、紀元前500年前後を生きた孫氏の言葉を弟子がまとめたものです。
2000年以上経過してなお読まれる、まさに不朽です。

直訳すると「言葉は伝わることがすべての目的である」といった感じでしょうか。
短い文章だけに色々な捉え方があるようです。

私には「言葉は伝わらなければ意味がない」という意味に感じられます。
難しい、専門的なことを知っていても、それを相手に伝えられないと意味がない。
相手に理解してもらうように、どのように表現するのか。
独善的な知識自慢やマウンティングではいけない。
相手の状況に合わせて、適切な言葉を選ぶ必要があることを認識させられました。

医療面接でも患者様に専門用語を連発していないでしょうか。
医者同士でも「DM」「MS」のような略語はいろんな意味を持ちます。
間違って伝わっていないでしょうか。
自分の襟を正さなければなりません。

もっと言うならば、同じ言葉でも、言葉を発するタイミングや声の大きさ、話す速度、抑揚、目線、そういった周辺状況によっても、相手に伝わるかは変わる気がします。
すれ違いざまに伝える言葉と、時間を取って個室で伝える言葉では、その重みも異なることでしょう。

貴重な発見もみんなの目に留まらなければ意味がない、ということなのかもしれません。
ビタミンを発見したのは鈴木梅太郎という日本人でした。
しかし、彼の論文は日本語であったため、世界的には発見者は別の科学者ということになっています。

誰に伝えるか、どのように伝えるかは、常に考えておかなければならないテーマなのだろうと思います。

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