副作用(Side Effect)と薬物有害反応(Adverse Drug Reaction)、有害事象(Adverse Event)の違いを表現できますか?
副作用(Side Effect)
以下WHOの文章から引用します。
http://archives.who.int/tbs/safety/esd_safety.pdf
‘Any unintended effect of a pharmaceutical product occurring at doses normally used by a patient which is related to the pharmacological properties of the drug’
<直訳>
薬剤の薬理学的特性と関連し、適正使用範囲で発生した予期しない効果
適正使用で発生していること、薬剤との因果関係がある、ことが重要になります。
また、起きた効果が有益か、有害かは関係ありません。
有害事象(Adverse Drug Reaction, ADR)
こちらもWHOからの引用になりますが、定義を再確認します。
‘a response to a medicine which is noxious and unintended, and which occurs at doses normally used in man’.
<直訳>
通常の用法・用量で使われたものの発生した、薬剤の有害で意図しない反応
通常使用で発生したこと、不利益であることが重要なポイントとなります。
Side EffectとADRとの違い
予期しない効果をすべて含めてSide effectといいます。
Side effectには有益な効果と有害な効果があります。
このうち、有害な効果についてはADRと呼ぶことになります。
Side effectの一部がADR、といえます。
有害事象(Adverse Event, AE)
同様にWHOからの引用です。
‘any untoward medical occurrence that may present during treatment with a medicine but
which does not necessarily have a causal relationship with this treatment’
<直訳>
因果関係が証明できるかどうかはともかく、薬剤による治療を行っていた期間に発生しうる意図しない医学的事象
つまり、薬との因果関係は問わないことになります。
治療期間中に起きたすべての問題はAEに含まれることになります。
ADRとAEの違い
ADRは因果関係がある有害な問題、AEは因果関係を問わず起きた有害な問題、といえます。
つまり、AEの一部にADRがあります。
例
例えば、多くの方は寝付けないことにより不眠薬を利用されていると思います。
①不眠薬を服用 → よく寝つけた
これは薬の望んでいた効果になります(主作用)
②不眠薬を服用 → 蕁麻疹が出た、便秘になった
これは薬の望んでいない、因果関係がある不利益になるので、Side effectであり、ADRにも該当します。
③不眠薬を服用 → 高血圧になった
薬との因果関係は不明ですが、薬を服用している間に発生した、健康上の問題なので、有害事象(AE)に当たります。
最後に
Side effectは有益な効果も含んでいるので、最近は使用されなくなる傾向にあるようです。
巷で使われる「副作用」という言葉は殆ど有害な効果を表していると思うので、実際にはADRと呼ぶのが正しいことになります。
薬剤と因果関係のあるADR、因果関係は問わないAEの2種類がちゃんと使い分けられるようにしなければ、と思います。
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