ピロリ除菌中の禁酒禁煙

ピロリ菌の除菌は日本で年間100万人以上が受けている、非常に一般的な治療法です。

3種類の薬剤を1週間、朝夕で内服することになります。

 

<一次除菌>

アモキシシリン、クラリスロマイシン、タケキャブ(その他の制酸剤)

<二次除菌>

アモキシシリン、メトロニダゾール、タケキャブ(その他の制酸剤)

 

うち2種類は抗菌薬で、タケキャブは補助的に使用されています。

 

禁酒が求められるのは2次除菌の方です。

2次除菌で使用されているメトロニダゾールとアルコールは相性が悪いです。

メトロニダゾールはアルコールの分解を妨げます。

アルコールは

  • ADH(アルコール脱水素酵素)
  • ALDH(アルデヒド脱水素酵素)

の2で分解されます。

ADHでアセトアルデヒドが作られ、ALDHで酢酸に分解されます。

ALDH2は一番有名な酵素ですね。

人間は2つ持つことができますが、これが全くないと下戸、2つあると酒豪になります。

ALDHの働きが不十分だと、アセトアルデヒドが蓄積します。

これが二日酔いの原因です。

 

メトロニダゾールはALDHの働きを阻害するので、疑似的に二日酔いが作られます。

なので、禁酒が勧められるわけです。

この作用を逆手にとって、アルコール依存症の人に敢えてメトロニダゾールを内服させる治療もあります(嫌酒薬)。

 

したがって、1次除菌では禁酒は必要ないです。

 

ちなみに除菌中には禁煙はマストです。

・胃の血流が減少し粘液が不足することで、抗菌薬の吸収が悪くなる

・胃酸が増加し、抗菌薬の吸収が悪くなる

・喫煙で制酸剤の効きが悪くなる

などが原因として考えられています。

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