一般向けのテーマです。
突然ですが、皆さんは投資をしたことがありますか?
株式や債券、不動産、ゴールド、Fx、クリプトカレンシー。
あるいはそれら複数をまとめた投資信託やETF。
これら商品を買うときの決まり文句は「投資は自己責任で」。
自己責任原則といわれるものです。
証券会社や銀行の窓口で営業マンに言われることもあれば、投資系ブロガーや投資系youtuberの文言にもよく含まれていると思います。
これは1990年代半ば、日本での「金融ビッグバン」(株式売買手数料の自由化、銀行での投資信託販売、投資信託商品の自由化など)により消費者に様々な選択の自由が与えられたときに生まれた標語です。
「いろんなところでいろんな商品を好きに購入してもいいけど、あなたが選んでね。」
「利益が出るかどうかはわかりません。こちらで利益は保証できません。」
というように消費者を突き放している、どこか冷めた印象を持ちます。
治療は自己責任で
では医療はどうでしょうか?
現在、インターネットの普及で、病名で検索すれば簡単に専門的な情報を得られると思います。
病名がわからなければ、症状から病名を推測することも可能です。
症状や病名から、必要な検査を調べることができ、必要な治療法や薬も表示されるでしょう。
オンライン診療も始まり、セカンドオピニオンも浸透してきました。
初診料はいるかもしれませんが、インターネットで口コミを調べて、好きな病院を選ぶことができます。
色々な場所で、色々な治療を受ける権利がある。
これは金融ビッグバンと酷似した状況にあります。
医者も元来勉強家ですから、知識は豊富です。
治療法も色々知っています。
しかし、治療法を患者様とどうように決めるのか、そのプロセスに関しては大学で少し習うだけです。
なお大学では、治療法を押し付ける父権的な関りは「悪」と教えられ、裏付けのある「エビデンス」に基づいて、患者様に選択肢を示す方法が勧められています。
「治療法を決めるのは患者様。決めたのは患者様。そこに医者の責任は発生しない」
というスタンスの医師が多くなっている気がします。
証券マンのスタンスにはっきりいって同じ、とも言えます。
意思決定に正解はない
お金も健康も非常にシビアな問題で、人生を大きく左右します。
健康問題と経済問題が、自ら命を絶つ2大原因となっています。概ね借金を3000万円程度背負うとその方向を考えるといわれています。
人生を狂わせる可能性があるので、医師も証券マンもその責任から逃げ出したくなると思います。
しかし患者様にとって、治療方針を決定するのは過酷な作業です。
病気の程度にもよると思いますが、癌であれば、おそらく人生初です(以下癌を診断された患者様を念頭に置いて話します)。
病気が怖い、手術が怖い、抗がん剤の副作用が怖い、職場復帰できるかわからない、育児・介護はどうしよう・・・
きっと頭の中でグルングルンしているはずです。
肌感覚で、同じ病気を現場で見てきた意見を参考にしたいと思うはずです。
重大な病気であればあるほど、患者様と医療面接を繰り返して、どのような形で治療法を提示したらいいか、作戦を考えるべきです。
自分で決めたいタイプ、「俎板の上の鯉」で全部お任せのタイプ。
この間のどこかに必ず患者様の関わりたい具合・程度があります。
それを補うように医師が意思決定に関わる必要があります。
「もし先生の家族だったらどうしますか?」
こう聞いてくる患者様は非常に多いです。
中には「病院ではそう聞け」というようなマニュアルを読んで質問する人もいるようですが、多くは素直に出てくる質問なんだろうと思います。
「ちゃんと自分のことを考えてくれているだろうか」
そういう気持ちの裏返しなのだと思います。
そこで答えられないのはよくないと思いますし、場合によってはこちらから先に「もし自分の家族だったとしても、○○の治療をしますね」と言ってしまう場合もあります。
雑記
副作用や合併症など、予期しない結果が起きた時に「話が違うじゃないか。どう責任を取ってくれるのか」と怒られるのを恐れて、医師は意思決定に関わるのを避けるケースが多いと思います。
しかし、実際に真摯に患者様の思いを受け止めて、理解した上で説明すれば、そのようなケースを起きないと思います。
恵まれた環境にいただけかもしれませんが、少なくとも私はありません。
説明したらそれで終わり。
ではなくて、一緒に意思決定の片棒を、責任の片棒を担げるような、そういう気概を忘れずに働きたいと思います。
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