医者はいろんな診療所・病院・検診センターでアルバイトをしています。
「郷に入れば郷に従え」
というこで、それぞれの場所の流儀に従って、検査や診察を行っています。
私の場合は胃カメラを始めとする検査に携わることが多いですが、気づくことがあります。
病院によって、胃内の泡と粘液のきれい具合が異なることに。
ということで、どのような泡消し(消泡剤)が使用されているのか、どうしたら有効に泡が消せるのか、を調べたいと思います。
胃内の泡・粘液
胃では胃酸に負けないように、粘液細胞(副細胞)が粘液を作っています。
粘液が付着している場合は表面の細かな構造を見ることができず、早期胃癌などの見落としが増えると思われます。
また、こういった粘液や泡を落とすために、胃カメラから水を注入して洗浄することができます。
ただし、
①無理な水圧で洗うと表面から出血する
②洗浄するために時間がかかり、検査がつらくなる
といったデメリットがあるため、なるべくなら検査前にきれいにしておく必要があります。
ガスコンとプロナーゼ
従って、胃カメラを検査する前に白っぽい液体を飲んでもらうことが多いと思います。
ガスコン(ドロップ)とプロナーゼが中には入っています。
ガスコンは泡の表面を覆っている水・粘液の表面張力をなくすことで弾けさせます。
特に空気を吸収する作用はありません。
検査中の洗浄液にもガスコンを含んだ水がよく用いられます。
一方、プロナーゼはタンパク分解酵素です。
ペプチド結合を切断して、胃粘液を分解します。
胃内の出血を惹起する可能性があるので、胃潰瘍出血などを疑う場合は禁忌です。
検査前の一工夫
改めてプロナーゼの添付文書を読むと、正解が書いてありました。
内服後、臥位で体位変換することを勧めています。
確かに、前処置が綺麗な病院は検査台の上で寝返りを1周うってもらっています。
昔の学会では2周することがよいという発表もあったようです(https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee1973b/39/Supplement2/39_Supplement2_2202/_pdf/-char/en)。
雑記
ガスコンドロップとプロナーゼを内服してもらった後に、咽頭麻酔を行い、胃カメラを行うのが、一般的な流れだと思います。
ピロリ陽性慢性胃炎の胃では粘液が増加しており、胃癌のリスクが高いです。
だからこそ粘液を落とさないと、余計に見落としのリスクが高まります。
緊張している人は咽頭麻酔までに唾液をよく呑み込んでしまっており、唾液の泡がよく胃内にみられます。
緊張具合を表すインジケーターのような印象がありますね。
前処置をかけてから検査までの待ち時間が長い人も同様の印象です。
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