胃腸から出血する疾患はたくさんあります。
最も有名な疾患は胃潰瘍でしょう。
それ以外に胃癌、大腸癌、静脈瘤や毛細血管の拡張からの出血、大腸憩室からの出血など、非常にたくさんの出血があります。
これらをまず大きく分類すると、上部消化管出血/下部消化管出血の2つに分けられます。
口から肛門までの消化管は非常に長いものです。
それを小腸のトライツ靭帯という靭帯で支えられているところで区切って(これ自身十二指腸と空調の境界になっている)、口側からㇳライツ靭帯まで(口・喉頭・食道・胃・十二指腸)を上部消化管、ㇳライツ靭帯から肛門まで(空腸・回腸・大腸)を下部消化管といって分けます。
この2者で出血源はじめ、すべての疾患について、アプローチが変わってきます。
出血に関していうと、上部消化管出血は出血量が多くなりがちで、胃カメラで到達することが可能です。つまり、緊急で検査して治療する必要性が高いです。
BUN/Cr比
消化管の様子は外から直接は見えませんので、外から出てくる情報から推測することになります。
血を吐いたり、血が肛門から出たり、いろいろな条件から総合的に判断することになります。
そのとき有用なのが、BUN/Cr比となります。
BUN(尿素窒素)もCr(クレアチニン)も血液検査で測定される項目で本来は腎臓の機能を表しています。
腎臓の機能が悪ければ、どちらも高くなります。
ただし、腎機能が悪くなっていなくても、Crは変化せず、BUNだけが上昇する状態があります。
その代表的な状態が消化管出血です。
消化管出血でいうと、血液に含まれるタンパク質が吸収され、血液のアンモニアが上昇します。
これが肝臓で分解されると一時的にBUNだけが上昇します。
平常時と比べるとCrは変わらないのにBUNだけ上がるので、BUN/Cr比が上昇することになります。
BUNの上昇、ではなく、BUN/Cr比の上昇、が重要です。
BUN/Cr比の上昇が意味するもの
タンパク質の吸収が消化管の中の小腸で起きます。
従って、BUN/Cr比が上昇しているということは血液が小腸を通過していることになり、すなわち上部消化管出血を示唆する結果になります。
どのくらい有用か、あるいはどこから有用かは報告があります。
以上の結果からは30ないしは35が一つの目安になります。
感度が高かったという報告がある一方で、特異度が高かったという報告もあり、どのように有用であるかは決まってはいないようです。
しかし、現場の肌感覚として、有用であることは間違いないです。
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