ピロリ菌の再感染について

ピロリ菌の除菌についての話題です。

除菌が成功したと判定された患者様に、「またピロリ菌の検査は必要ないですか?」と聞かれるケースがよくあります。

そこで、今回は再検査する必要性について掘り下げたいと思います。

①患者様、研修医、消化器系の修練医 向けに

②ピロリ菌再検査の必要性

を理解してもらえれば幸いです。

ピロリ菌の再感染について

ピロリ菌は胃の中にいる細菌です。

そのほとんどは子どものときに感染します。大人になってから感染しても、急性胃炎になるものの、定着することは稀です。

除菌をするときには、既に人生の殆どをピロリ菌とともに歩んでいたことになります。

除菌した後、成功したかどうかの検査にはグレーゾーンが存在することもまた事実です。

なので再検査で陽性になる場合は

①もともと除菌できていなかったが、「除菌成功」と判断されていた

②本当に、新規に感染した

の2パターンがありえると思います。

この2つで「再発」と定義している論文もあります。

 

実際のところ

現場では上2つは厳密に区別することが難しいです。

論文によってはピロリ菌の株まで調べることができていて、

①前と同じ株 → 本当は除菌失敗していたパターン

②前と違う株 → 別のピロリ菌に新たに感染したパターン

に分けられています。

 

①本当は失敗していたパターン(実は生き残っていたパターン)

4.3% (Aliment Pharmacol Therap. 2017;46(9):773–779. )

②新規にピロリ菌に感染したパターン

1.5%-3.1%

Aliment Pharmacol Therap. 2017;46(9):773–779; Emerg Microbes Infect. 2020;9(1):548-55; Acta Biomed.2018 Dec 17;89(8-S):72-76.)

①+②両者合わせて

9.1%

(World J Gastroenterol. Jan 14, 2010; 16(2): 251-255)

といった報告があります。

 

再感染しやすいリスク因子に関しては

・教育水準

・胃癌の家族歴

などが挙げられるようです。

また、除菌できたと思っていても、口腔内に生き残っているケースもあるようです。

これでは尿素呼気試験には引っかからないし、いずれ胃までピロリ菌が到達してしまうでしょう。

 

雑記

生き残っていたパターン、新たに感染したパターンを足し合わせると案外ピロリ菌が再度陽性になる確率は高いように思います。

胃カメラをするとピロリ菌が除菌成功したか、不成功かはある程度判断がつくと思います。

胃炎の改善や地図上発赤など、除菌後にみられる所見があるからです。

胃カメラでまだ生き残っているピロリ菌の存在を疑ったら、再度検査することがよいでしょう。

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