久々の更新です。
3月まで大学院生として研究生活をしていましたが、4月から市中の総合病院に赴任しています。
その過程で、研究生活での成果を論文にまとめて報告していたのですが、忙しくて更新できていませんでした。
さて、テーマは消化器内科の一般的な話題になります。
虚血性腸炎。
虚血性腸炎は腸で血液が不足して引き起こされる腸炎です。
食中毒で想像される「感染性腸炎」とは様相が全く異なります。
腸も内臓=筋肉なので、日々運動しています。
血液から酸素や栄養を回収して機能しています。
従って血液が滞ると腸も生きていくことができなくなり、表面が壊死・炎症を来してしまいます。
これを虚血性腸炎といいます。
①もともと血液が不足がち=血管因子
なところに
②運動しないといけない状況=患者因子
が乗っかることで発症します。
①血管因子は動脈硬化や血栓であり、動脈硬化の原因として年齢や高血圧・脂質異常症・糖尿病などが挙げられます。
②患者因子は、便秘や下剤など、腸が運動して血液が必要になった状態が挙げられます。
もともと血液があまり供給されていない箇所で発症することが多く、大腸ではS状結腸や下行結腸などが典型的です。
直腸は血液を下腸間膜動脈・内腸骨動脈2本の計3本から受けており、血流が保たれることから、虚血性腸炎の原因にはなりにくいことが知られています。
では直腸で虚血性腸炎は起きないのか・・・というと稀ながら存在する、という印象です。
およそ5%程度は発生しています。
案外多い印象なので、必ずしも除外できないということに注意すべきと考えられました。
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