消化器内科で内視鏡検査をしていると、逆流性食道炎の患者様によく出くわします。
胃酸の「逆流」による「食道炎」なので、症状のあるGERDの患者様には胃酸を抑えることが治療の中心になります。
制酸剤(いわゆる胃薬)を処方することも多いですが、薬に抵抗のある人が多いのも事実。
そこで、体位の問題(食後2時間程度は横にならなにように)とか食事に気を付けるように、というような生活指導を行うことになります。
重力の関係で横になると胃酸が逆流しやすいのは直感的にも理解できると思います。
食事に関しては、お酒、タバコ、カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶)、脂っこい食事、塩分の多い食事などが胃酸を増やすので控えるように伝えてきました。
実際のところは胃酸の量と関係あるのでしょうか?
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米国のジョンホプキンス大学のサイトでは胃酸を増やすだけでなく、食道括約筋の締りを緩くして、胃の動きを遅らせる要素として脂質・塩分・スパイスが挙げられています。
<GERDを悪化させるもの>
・揚げ物、ポテトチップス、ベーコン、ソーセージ、チーズ、チョコレート
・ファストフード
・ペッパー、チリパウダー、ミント
・柑橘類、トマトソース
・炭酸水
ミントについては「ミンクリア」として検査によく使用されていますので当たっているのかもしれません。
一方で予防に向いている食事としては
・高繊維食(玄米、根菜など)
・アルカリ性の食事(バナナ、メロン、カリフラワーなど)
・水分の多い食事(スイカ、キュウリ、レタスなど)
別の病院のHPも参照します。
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こちらではカフェイン飲料、アルコールといったレギュラーメンバーも紹介されています。
以上は専門家の意見になります。
査読された論文に関しては、2018年にNurtritionにGERDと食事療法に関する研究が掲載されています。
こちらでは地中海食(野菜、乳製品、ナッツ、)をベースとして、それに
①レモンジュース(酸性の食事)
②ヨーグルト増量(グリシンの少ない食事)
③レモンジュース+ヨーグルト
を追加して、逆流症状の変化をみたものになります。
②の食事中は7割の患者で胸やけ症状が悪化した一方、③の食事では8割の患者で胸やけ症状が改善しました。
④のレモンジュースがあっても、胸やけ症状は改善したままでした。
ということで、ヨーグルトは少なくとも胸やけには効果があるようです。
雑感
食事で逆流症状が悪化する理由には胃酸だけでなく、食道括約筋のはらたきも関係しているようです。
その上で、ヨーグルトなど症状を治療する食事もあるということで、患者様にも指導の幅が広がりそうです。
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