自己免疫性胃炎の定義

自己免疫性胃炎は200人に1人程度と意外に多いことがわかっています。

また、近年増加傾向にあると考えられています。

しかし、どういう状態を自己免疫性胃炎というかの定義はボンヤリして定まっていませんでした。

最近、日本から定義が出たので紹介します(J Gastroenterol, 2023)。

定義

診断は

①内視鏡(胃カメラ)の異常

②生検結果(胃カメラで胃の一部をつまんでくる)の異常

のどちらかがあり、

③血液検査の異常

が必ずあれば診断します。

①+③、②+③、①+②+③の組み合わせのどれかで「自己免疫性胃炎」と診断します。

自己免疫性胃炎の初期には「①胃カメラでの異常」がみられない場合も多いため、①は必須ではありません。

①だけ、②だけ、(=血液検査の異常がない)場合は「疑いあり」で診断には至りません。

①胃カメラの異常

自己免疫性胃炎は胃底腺と呼ばれる場所の「壁細胞」という構成員が破壊される病気です。

・胃体部と穹窿部(=胃底腺領域)での萎縮

・胃体部と穹窿部での粘液付着、酸分泌粘膜の点状遺残(偽ポリープ)、過形成性ポリープ

が特徴です。胃底腺は体部・穹窿部に分布するため、これらの領域に胃カメラの異常がでます。早期にはないこともあります。早期や進行した胃炎での区別は診断基準ではありません。

 

②生検結果の異常

早期段階の胃炎から進行した段階の胃炎までで定義が異なります。特に早期の段階では、典型的な結果が得られない場合があります。

胃酸を作る細胞が破壊される病気なので、進行した胃炎の状態では

・胃酸を作る細胞(壁細胞)がみられない

・胃底腺の丈が低くなる(萎縮するため)

・胃酸を作るように指令を出す細胞(ガストリン細胞)が増える

・ガストリンに反応して、ECL細胞が増える

といった変化がみられます。

初期には主細胞(消化酵素のペプシノゲンを作る細胞)が粘液を作る細胞に変化したり、上記反応が軽度ながらみられることが条件になります。ECL細胞はクロモグラニンAでチェックします。

 

③血液検査の異常

壁細胞が破壊された後、壁細胞が持っている分子がばらまかれます。

その結果、壁細胞の一部を異物として認識し、抗体ができます。

診断に用いられるのは、抗胃壁細胞抗体(プロトンポンプに対する抗体)や抗内因子抗体になります。日本では抗内因子抗体は高価で、公的医療保険では賄われていません。なので、抗胃壁細胞抗体がよく用いられます。

血液中のガストリンなども上昇しやすいですが、胃薬など他の原因でも上がることがあるため、診断には用いられません。

 

最後に

自己免疫性胃炎は胃癌や胃神経内分泌腫瘍(NET)、貧血(ビタミンB12や鉄不足)の原因となります。従って診断能力を高めておく必要があります。見逃されていることも多いとされているので、萎縮パターンや粘液、過形成性ポリープなどをみたら、積極的に生検を行うことが重要と考えられます。

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