タバコと胃十二指腸潰瘍

タバコは百害あって一利なしと言われますが、「胃」に対しても同じことが言えます。

Smoking and ulcer perforation
Background —The use of ulcerogenic drugs is the only well documented risk factor for peptic ulcer perforation, but accounts for only a quarter of the events. Sm...

1997年のGutの論文です。
1987-1991年にノルウェーに入院した消化性潰瘍の患者からタバコの習慣に関してインタビューをして情報を得ています。
年齢やそのほかの要素を調整した結果、喫煙者の方のオッズ比が10程度であり、危険因子として重要なものであると考えられます。
本数が増える程危険性は増す一方、禁煙すると危険性は消失します。

なぜ、潰瘍を増やすかについてはいくつかメカニズムがあるようです。
①血管収縮を来し、胃の血流が減少する
②プロスタグランジンが減少する
③胃を保護する粘液が減少する
④粘膜の増殖が抑制され(EGF産生が抑えられる)、アポトーシスが増加する(活性酸素が増えるため)
⑤胃酸が増加する(ニコチンがH2受容体を刺激する)
⑥アルカリ性である膵液が減少する
⑦ピロリ菌陽性率が高まる

胃癌もタバコによりハザード比2倍弱で増加します。
GERDについても、上記のルールの他、ニコチンが食道平滑筋を緩めてしまうので、タバコは悪化要素になります。
なお、タバコを吸っている人にピロリ菌陽性率が高くなる傾向はありますが、タバコとピロリ菌感染が重なるとなお悪化させるのかは不明です。

どの疾患でも禁煙を勧めると思いますが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも同様に禁煙を勧めなければなりません。

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