GISTの悪性度分類

久々の投稿になりました。

癌というのは基本的に表面の細胞(上皮)からできる悪性腫瘍のことを言います。

従って、上皮じゃない細胞からできた悪性腫瘍は「肉腫」であったり、「悪性リンパ腫」であったり、「白血病」であったりと、癌ではない別の病名で表されます。

GISTという悪性腫瘍も粘膜の下にできる、「癌」ではない「悪性腫瘍」になります。

GISTとは

GISTとはGastroIntestinal Stromal Tumorの略です。

由来はカハール介在細胞の前駆細胞ということで、「癌」ではなく「肉腫」という悪性腫瘍の一種になります。

内臓も外側には筋肉で覆われ伸び縮みすることができ、その筋肉内部からこの悪性腫瘍は出てきます。

従って、表面には異常がなく、半球状に盛り上がった「粘膜下腫瘍」の形態をとります。

GastroIntestinalということは食道から直腸まで、食事の通り道(消化管)のどこにでもできる可能性がありますが、現実には「胃」に多くはできてきます。

GISTのリスク分類

GISTもその場に留まるだけでなく、他の部位に移動する(転移)能力があります。

それゆえ、悪性腫瘍といわれます。

再発リスクに関してはFlecher分類があり、サイズと細胞増殖能(Ki67陽性率)で評価されます。

ScienceDirect

KITについて

GISTではc-kitの機能獲得性変異(変異が入ってタンパク発現が増加している状態)が90%以上みられ、診断する上で非常に重要と考えられます。

おそらくGISTが発生する上でほぼ必須の発現亢進なんだと思われます。

c-kitの役割ですが、KITタンパクをコードする遺伝子です。

KITはチロシンキナーゼであり、もともとStem cell factor (SCF)が結合することで活性化します。

下流ではRAS/ERK, PI3-Kinase, Src kinase, JAK/STATといった生存・増殖に重要なpathwaysを亢進させています。

The stem cell factor (SCF)/c-KIT signalling in testis and prostate cancer - Journal of Cell Communication and Signaling
The stem cell factor (SCF) is a cytokine that specifically binds the tyrosine kinase receptor c-KIT. The SCF/c-KIT interaction leads to receptor dimerization, a...

 

従ってc-kitに活性型変異があると、ERK活性、PI3活性、Src活性、JAK/STAT経路が自然に活性化することになるので、増殖能などが高まります。アポトーシスを阻害します。

治療薬であるイマチニブもチロシンキナーゼ阻害薬であり、亢進しているKITの役割を阻害するというわかりやすいメカニズムということになります。

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